NEC「LaVie J LJ750/LH」

NECから登場した「LaVie J LJ750/LH」は、12.1型ワイド液晶を搭載したモバイルノートPCだ。LaVie Jシリーズは、以前から携帯性に優れたモバイルノートPCとして定評があったが、今回発表された新LaVie Jは、筐体や内部の設計が一新され、まさに新世代モバイルノートPCと呼ぶにふさわしい製品へと生まれ変わった。

 新LaVie Jシリーズの店頭モデルは、搭載メモリやHDD、インターフェイス、Officeの有無などの違いによって、3モデルが用意されているが、今回はその中でも最上位となるLJ750/LHを試用する機会を得たので、早速レビューしていきたい。

 まず、一新された筐体から見ていこう。旧LaVie Jは、筐体上面にボンネット構造と呼ばれる形状を採用していた。ボンネット構造は、車のボンネットのような形状であり、強度的には優れているが、大きな凹凸があるため、カバンなどへの収まりがイマイチであった。しかし、新LaVie Jでは、ボンネット構造をやめて、フルフラットなデザインを採用している。筐体の厚さも29.8mmとスリムであり、カバンなどへの出し入れもスムーズだ。ラッチレスデザインを採用しているため、邪魔な出っ張りがなく、外観もすっきりしている。

 筐体の材質には軽くて丈夫なマグネシウム合金を採用。天板の内側形状の工夫や液晶パネルと天板の間に約5mmの空間を設けるといった設計面での工夫により、天板全体の耐圧300kgfを実現。ボンネット構造を採用していた旧LaVie Jの耐圧は150kgfだったので、実に2倍に強化されたわけだ。さらに、半径15mmの円柱による点加圧試験においても、25kgfをクリア。堅牢性はモバイルノートPCの中でもトップレベルであり、満員電車の中などでも安心して持ち運べる。筐体のデザインはシンプルだが、コーナーが丸く処理されているため、角を手で持ち上げたときの感触も優しい。重量は約1,279gと軽く、携帯性は非常に優秀だ。女性でも気軽に持ち歩くことができるだろう。

 ボディカラーはブラックで、天板にはピアノブラック塗装が施されている。その名の通り、ピアノのような美しい光沢を持つ塗装であり、高級感を演出している。また、最上位のLJ750/LHでは、細かな擦り傷などを自ら修復する「スクラッチリペア」と呼ばれるコーティングが行なわれている。これまで、スクラッチリペアは、NECの直販サイト「NEC Direct」限定モデルでのみ採用されており、ユーザーから高い評価を得ていた。LJ750/LHでは、店頭モデルとして初めてスクラッチリペアを採用していることも魅力の1つだ。

 もちろん、スクラッチリペアにも限界があり、塗装自体がはがれるような深い傷を修復することはできないが、日常の利用で付く細かな擦り傷ならほぼ修復してくれるのでありがたい。付属のクリーニングクロスでときどき磨けば、いつまでも新品同様の美しい光沢を保つことができるだろう。

LJ750/LHの上面。天板は光沢のあるピアノブラックで塗装されており、非常に美しい LJ750/LHでは、細かな擦り傷を自己修復するスクラッチリペアコーティングが採用されており、天板の前面と背面に「SCRATCH REPAIR」という文字が印刷されている A4用紙とのサイズ比較。フットプリントはA4用紙とほぼ同じサイズである

 LJ750/LHは、基本性能も高い。CPUとしてデュアルコアのCore 2 Duo U7600(1.2GHz)を、チップセットとしてグラフィックス統合型のIntel GM965 Expressを採用。LJ750/LHでは、標準で2GBのメモリが実装されているため、メモリを増設しなくても、そのままの状態でWindows Vista Home Premiumを快適に利用できる。SO-DIMMスロットは1基で、標準で1GB SO-DIMMが装着されているため、空きスロットはないが、さらにメモリを増設したい場合は、1GB SO-DIMMを外し、代わりに2GB SO-DIMMを装着することで、最大3GBまでメモリを増設可能だ。

 HDDは、2.5インチ/5,400rpm HDDを搭載。容量も160GBと大きい(下位モデルのHDD容量は80GB)。このクラスのモバイルノートPCでは、サイズや重量などの制約から、小型で軽量な1.8インチHDDを採用している製品が多いが、1.8インチHDDは、2.5インチHDDに比べてパフォーマンス的に見劣りする。2.5インチHDDを搭載したLJ750/LHは、ディスクパフォーマンスが高く、実際の使用感も軽快であった。

 さらに、LJ750/LHでは、加速度センサーによって振動や衝撃を感知すると、HDDの磁気ヘッドを自動的に退避させる「ハードディスクセーバー」を搭載しており、大切なデータが失われてしまうリスクを低減させている。光学ドライブとして、±R DL対応DVDスーパーマルチドライブを搭載。ドライブの天板を外して実装することで、軽量化を図っている。また、光学ドライブの電源は、一定時間未使用時に自動的に切れるようになっているほか、Fn+F5キーでもON/OFFできる。さらに、タスクトレイにあるユーティリティを使えば電源Offまでの時間が設定できたり、光学ドライブの電源状態が判る。

左側はWireless USBモジュールが装着されているminiPCI Expressスロット。右側はSO-DIMMスロットで、1GB SO-DIMMが装着されている 右側面にDVDスーパーマルチドライブを搭載。着脱はできない ユーティリティを利用して、ハードディスクセーバーに関する設定が行なえる。感知レベルは5段階から選択可能



ディスプレイとして12.1型ワイド液晶パネルを搭載。Windowsサイドバーを表示させても、横の解像度が不足しない

 LJ750/LHは、液晶ディスプレイとして、12.1型ワイド液晶パネルを採用。解像度は1,280×800ドット(WXGA)で、モバイルノートPCでは一般的な1,024×768ドット(XGA)に比べると、一度に表示できる情報量は約1.3倍になる。また、ワイド液晶なので、Windows Vistaのサイドバーを表示させた状態でも、窮屈な印象は受けない。Windows Vistaとワイド液晶の相性は非常によいのだ。従来のLaVie Jでは、ノングレアタイプの液晶を採用していたが、LJ750/LHでは、色鮮やかなスーパーシャインビュー液晶を搭載。LCD内部の光を拡散する部分の構造および材質などを改善することで高輝度を実現しているだけでなく、表面に低反射処理が施されているため、外光の映り込みが少なく視認性も高い。

 キーボードのキーピッチは17.55mmで、キーストロークは2.5mmである。キー配列は標準的で、キーピッチも均等なので快適に入力が可能だ。ファンクションキーのF4とF5、およびF8とF9の間のスペースも大きく空いているため、打ち間違いも少ない。余談ではあるが、BIOS画面にてFnキーと左Ctrlキーの入れ替えもできる。

 ポインティングデバイスとしては、パッドタイプの「NXパッド」を搭載。スペースキーとパッドの間が近く、パッドの間の土手が取り去られているため、パッドが操作しやすく、スペースキーを押し込んでも、親指の横腹に土手があたって違和感を感じることがない。このあたりも細かな点だが、よく配慮されていると感じた。また、Fn+1キーやFn+2キーを「ワンタッチスタートボタン」として利用可能で、ユーティリティによって割り当てるアプリケーションを自由に変更できる。

 キーボードの左上にスライド式の指紋センサーを搭載するほか、TPM v1.2準拠のセキュリティチップも搭載しており、セキュリティ面についても万全だ。

キーピッチは17.55mm、キーストロークは2.5mmで、キーピッチも均等なのでタイピングしやすい。スペースキーとパッドの間の土手が取り去られていることにも注目 Fn+1キーやFn+2キーをワンタッチスタートボタンとして利用でき、割り当てるアプリケーションを自由に設定できる キーボード左上にスライド式指紋センサーを搭載。指紋によるユーザ認証が行なえる

 インターフェイスも充実している。USB 2.0×2とミニD-Sub15ピン、Gigabit Ethernet、マイク入力、ヘッドフォン出力などのポートを装備しているほか、SD/SDHCメモリーカードスロットとPCカードスロットを搭載。さらにパームレスト右側にはFeliCaポートを搭載しており、おサイフケータイやSuica、Edyカードなどを利用して、ネットショッピングやユーザ認証などが行なえる。

右側面には、DVDスーパーマルチドライブやUSB 2.0×2が用意されている 左側面には、ミニD-Sub15ピンやLAN、マイク入力、ヘッドフォン出力、PCカードスロット、SD/SDHCメモリーカードスロットが用意されている 前面には、PCカードイジェクトレバーが用意されている。また、中央のLEDインジケータ類は液晶を閉じても確認できるようになっている
LEDインジケータ。無線LANやCAPSロック、スクロールロックなどの状況がわかる PCカードスロットやSD/SDHCメモリーカードスロットのフタはダミーカード方式

 無線LAN機能は、最新のIEEE 802.11nドラフト2.0に対応し、最大300Mbps(理論値)の高速通信が可能だ。また、Bluetooth 2.0+EDRもサポートしており、Bluetooth対応のマウスや携帯電話などとワイヤレス接続が可能だ。

 さらに、LJ750/LHでは、USBの無線版規格であるWireless USBを標準でサポートしていることが大きな魅力だ。Wireless USBは、超広帯域を利用する無線技術UWBをベースにした規格で、LJ750/LHの場合、Band#3(4.2〜4.8GHz帯)を利用する。日本国内で発売されているモバイルノートPCで、Wireless USBに標準で対応した製品はLJ750/LHが初めてだ。Certified Wireless USBに準拠しているため、互換性についても安心できる。また、Intelが策定したホストコントローラの仕様であるWHCI(Wireless Host Controller Interface)に世界で初めて対応し、高速なPCI Expressインターフェイスをサポートしている。

 Wireless USBは、これからの普及が期待される規格のため、対応製品は非常に少ない。だが、LJ750/LHには、既存のUSB周辺機器(プリンタやマウス、USBメモリなど)をワイヤレス環境で利用できるWireless USB Hubが付属し、すぐにWireless USBの恩恵にあずかれる。

 Wireless USB Hubは、USB Aコネクタ×4とUSB miniBコネクタ×1が用意されており、USB周辺機器を最大4つ接続できる。USB miniBコネクタは、デバイスアソシエーション(関連付け)用に使われるコネクタで、アソシエーションケーブルで本体と繋ぐことで、本体とWireless USB Hubとの関連付けが行なわれる。いったんアソシエーションが完了すれば、あとは本体とWireless USB Hubの電源を入れるだけで自動的に接続が行なわれ、そこに新しいUSB周辺機器を接続すれば、LJ750/LH上でそのまま認識できるという仕組みだ。

付属のWireless USB Hub。サイズはタバコの箱を一回り大きくした程度だ Wireless USB Hubには、USB Aコネクタが4つ用意され、最大4つのUSB周辺機器を接続できる。左のUSB miniBコネクタはアソシエーション用 Wireless USB Hub用のACアダプタ。動作にはACアダプタからの電源供給が必要

 実際にWireless USB HubにプリンタやUSB対応ポータブルHDDを接続して使ってみたが、本体のUSBコネクタに機器を接続したのと同じ感覚で利用することができ、その簡単さに感激した。直接USB 2.0で接続する場合に比べると速度は落ちるが、36個の画像ファイル(合計104MB)をWireless USB Hub経由でポータブルHDDから内蔵HDDにコピーするのにかかった時間を計測したところ27秒で、数百MB程度のファイルのやりとりなら速度的には十分だ。もちろん、無線LAN経由でNASなどにアクセスするのに比べれば数倍早いし、プリンタを接続するなら、ワイヤレス化によるオーバーヘッドは無視できる。なお、Wireless USBの電波到達距離だが、距離が離れるほど実効速度が低下するため、3m以内での利用が推奨されている。

 ただし、Wireless USBは屋外での利用は認められておらず、LJ750/LHの場合もACアダプタ接続時しか有効にならないという制約がある。しかし、オフィスや自宅の机の上にWireless USB Hubを置いておき、そこにプリンタやマウスなどを接続しておけば、ワイヤレスでのポートリプリケータ感覚で利用できる。つまり、外出先や仕事先などで利用していたLJ750/LHを机の上に持ってきて、ACアダプタを繋ぐだけで、プリンタやマウスなどを自由に使えるようになるわけだ。将来は、さまざまなデバイスがWireless USBに対応し、ケーブルが必要になる場面もごくわずかになるのだろうが、そうした数年後のPCの使われ方を先取りした製品といえる。

 なお、無線LANやWireless USB、BluetoothのON/OFFを切り換えるための専用スイッチは用意されていないが、Fn+F2キーによってワイヤレス機能のON/OFFを切り換えることができる。

Wireless USBの設定や接続状況の確認には、ワイヤレスUSBマネージャを利用する Fn+F2キーでワイヤレス機能の有効/無効の切り替えが可能だが、そのときに有効にするワイヤレス機能の選択が可能

 モバイルノートPCは、移動中などに使われることが多いので、バッテリ駆動時間も非常に重要だ。LJ750/LHは、7.2V/7,800mAhの6セルバッテリで、公称6.5時間の連続駆動を実現しており、十分合格点を付けられる。また、「バッテリ・リフレッシュ&診断ツール」を利用することで、バッテリの劣化を抑えて、より長く安定して使うことができる。

バッテリは、7.2V/7,800mAhの6セル仕様だ バッテリ・リフレッシュ&診断ツールを利用することで、バッテリの劣化を抑えることができる

 ACアダプタもコンパクトで軽く、しかもウォールマウントプラグが付属していることが嬉しい。ウォールマウントプラグは着脱が可能で、プラグ部分は折りたたむことができる。ウォールマウントプラグを使えば、コンセントからACアダプタまでのACケーブルが不要で、壁のコンセントに直接ACアダプタを装着できるのでよりスマートだ。ケーブルの長さが足りない場合やテーブルタップのコンセントなどに接続する場合は、ウォールマウントプラグを使わずにACケーブル経由で接続すればよい。

 熱設計も一新されており、排熱能力が向上。スロットリング動作を極力抑え、性能を引き出せるように設計されている。冷却ファンには、動作音が静かな流体軸受けファンを採用しており、ファンの騒音もほとんど気にならない。

ACアダプタはコンパクトで携帯性も優秀だ(ウォールマウントプラグ装着時) ウォールマウントプラグのプラグ部分は折りたたみが可能 ACアダプタとCDのサイズ比較(ウォールマウントプラグ装着時)

 LJ750/LHは、スリムで軽く、堅牢な筐体に、ワイヤレスUSBやIEEE 802.11nドラフト2.0対応無線LANなどの先進的な機能を詰め込んだ製品であり、モバイルノートPCとしての完成度は非常に高い。参考のため、Windowsエクスペリエンスインデックスを計測したところ、下の表のようになった。このクラスのモバイルノートPCとしてはトップクラスのパフォーマンスであり、Windows Aeroも快適に動作する。特に、2.5インチHDDを採用しているため、HDDのスコアが高いことがわかる。

 HDD容量も大きく、2スピンドル機であるため、モバイル専用としてではなく、メインマシンとしても十分実用的に使える。また、美しいピアノブラックの天板は、所有することの喜びを感じさせてくれる。携帯性と性能、デザインの三拍子揃った製品として、軽くて高性能なモバイルノートPCを探している人に、強くお勧めしたい。

Reported by 石井英男

Windows Vista パフォーマンス評価一覧表
Windows Vista パフォーマンス評価一覧表

□LaVie Jの製品情報